<トコロテン>
私が高校へ入学した年の夏。
インターハイに行くのに連れて行って貰った。
成績はまるでダメだったが、鶴岡の旅館での事、夕食にトコロテンが出た。
その頃、テーブルでなくお膳で食事が出てきた。
今となってはどんな料理だったか記憶が定かでない。
小茄子のカラシ漬けはおいしく食べたのだがトコロテンには皆がハタと困った。
先輩は元より先生も知らない。
仕方がないのでそのまま膳を返した。
しばらくして女中さんが襖の外から声をかけた。
私が襖を開けるとその人は脇取りに先ほど返したトコロテンをのせていた。
「○×△~#&」 山形弁だったので私の頭の中は「?????」だった。
怪訝な顔をしているものだからその人は若い人を呼んだ。
「どうしてトコロテンをお食べにならなかったのか」と問われていたのだ。
私は「食べ方がわからない」と言った。
すると「●♭¥$▲×пЭ」。ようするに
「関西ではトコロテンは食べないのか」という事である。
「食べるには食べるが黒蜜をかけておやつに食べる」と答えた。
そうすると若い人が食べ方を教えてくれた。
カラシ酢醤油で食べるのだそうだ。
そんな事知らなかった。
皆に聞いてみると「いらない」と言う。
私は試してみたかったのだが皆が要らないというので遠慮した。
惜しい事をしたもんだ。
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